sait0’s blog

思想があり、それを概念として提示するだけではなく、実践する生き方

10. 対人関係

バイトで久々にガツンとやられることがあった。私はアウトドアウェアの販売店でバイトをしている。そのバイト先では購入後の製品が使っているうちに破れたりした場合に修理をするサービスをかなり手厚くやっているのだが、その修理について今日のバイト中にお客さんと一悶着があった。修理についてのお店側のルールとしては、初期不良は無償修理や交換で対応しているのだが、購入後何年か経った使用中のトラブルに対しての修理については基本的に修理代金をいただいて修理をしている。

今日来られたお客さんは、購入後5年ほどが経過して使用感のあるフリースのほつれをを修理してほしいと持ってこられた。このケースはこちらのマニュアルでは有償での修理になるので、私は最初いつものように修理伝票を作成しようとしたのだが、そのお客さんは無料で修理ができると思ってご来店されたようで、そのあたりから態度が硬化していった。私は「まずい、これはクレームに発展しかねないな」と思って、修理受付について本来は有償で修理をさせていただいているということを一通り説明してから、無償で修理ができると思ってお店に来られたそのお客さんとの妥協点を探ろうと考えていた。しかし、そのお客さんは「基本的には有償での修理をさせてもらっている」ということをお伝えした段階で沸点に達してしまったようで、「お前らでは話にならないから直接本社に連絡する」と言って帰られてしまった。これからお伝えしようとしていたことの1割もお話できないままご立腹で帰られてしまったので、正直私は面食らった。そしてバイトが終わった後もこんな文章を書いてしまうくらいにはひきずっている。

帰りの電車の中でぐるぐるとこのことを考えていたのだが、私はどうするべきだったのだろうか。もしかしたら自分のその時の話し方や態度が悪かったのかなとかあれこれ考えたけれど答えは出ない。しかし、一つ言えることは他者と関わるということはこういうことなのだろうということである。私はあの時、こちらのシステムというかルールについてお客さんが誤解している点があるから、まずはそれを説明してからと考えてそのつもりで話していたが、お客さんにとっては無償で修理ができないという事実だけで気分を害するには十分だったのだ。こちらとしてはもうちょっと話を聞いて欲しかったという思いは正直あるが、そんなことを言っても何もはじまらない。他者が何を考えているのかということは、どこまでいってもわからないのである。

私はこうした対人関係についての経験が圧倒的に足りないのだなと今回の出来事で痛感した。これまで自分の殻にこもって自分のことばかり考えてきたから、比較的こうした対人関係のストレスは経験してこなかった。しかしこれから社会に出れば、どんなに自分の考えと相入れないと思う相手とでもなんとか良好な関係を築いていかなければならない場面が出てくるだろう。そんなとき私は果たして上手く関係を構築できるのだろうか。

そのためにはやはり自分から色んな人と関わりを持つことによって経験を積んでいかなくてはならないのだと思う。今回のケースのように、自分には悪意がなくても、相手がそれをどのように受け取るのかは究極的にはこちらが関与できることではないので、できるだけこちらと相手の間に齟齬や誤解がないようなコミュニケーションをしていかなくてはならない。それにはやはり場数を踏んで、こういう時にはこういう反応があるというデータベースを自分なりに構築していくことが必要である。

そんなことを思った出来事だった。